JACET関西支部2025年度第1回講演会が決まりましたのでお知らせ致します。
「言語学の研究成果をどう英語教育に活かすか? コーパス言語学・心理言語学からの展望」というテーマで,石川慎一郎先生(神戸大学教授)と門田修平先生(関西学院大学名誉教授)が登壇されます。
以下,講演会の詳細となっております。ぜひ皆様万障お繰り合わせの上ご参加ください。
〇日時:2025年6月21日(土) 15:20~17:00
〇媒体:オンライン(Zoom)
〇プログラム:
第1発表 石川慎一郎(神戸大学教授)「コーパス言語学から英語教育へ」
第2発表 門田修平(関西学院大学名誉教授) 「心理言語学から英語教育へ」
両名対談 「言語学と言語教育をどうつないでいくか?」
〇申込方法:Peatix(https://peatix.com/event/4387467/view?k=632ac4f9cc4b371382e26e1d012a2996b6c9c44b)
〇企画趣旨:
・言語学と言語教育をどうつないでいくか?
・言語学は本当に英語教育の改善に役立つのか?
・両者の連携を強めていくために必要なことはなにか?
これらは,今なお,古くて新しい問いとして私たちの前に残されています。
今回の企画では,言語学と言語教育学の両方の分野で仕事をされてきた関西支部の2名の先生に,これまでの研究と今後の展望についてお話しいただきます。
〇発表概要と講師紹介
【第1発表】石川慎一郎(神戸大学)「コーパス言語学から英語教育へ」

【発表概要】英語教育におけるコーパス活用の利点は多いが,特に重要となるのは,(1)目標言語の使用実態を明らかにして教材等に反映できることと,(2)学習者言語の特性を明らかにして教授に応用できることにあると思われる。これらは,依拠するデータの性質の違いに伴い,「英語コーパス分析」と「英語学習者コーパス分析」として整理できる。本発表では,発表者自身の過去の実践を含め,これらの2つの方向でどのような研究がなされてきたかを紹介し,コーパスを活用した英語教育の方向性を論じる。あわせて、「コーパス準拠英語教育研究」の抱える悩ましい制約や限界,また、生成AI時代におけるコーパスのレゾンデートル(が本当にあるのか?)についても言及したい。
【講師紹介】神戸市生まれ。神戸大学卒業。神戸大学大学院・岡山大学大学院修了。博士(文学)。神戸大学 大学教育推進機構/国際文化学研究科/数理・データサイエンスセンター教授。専門はコーパス言語学・応用言語学・英語学・日本語学ほか。これまでに英語コーパス学会会長,北京外国語大学招聘教授他を歴任。現在,文化審議会国語分科会委員(言語資源小委員会副主査),計量国語学会副会長,中国語話者のための日本語教育研究会副代表,文部科学省日本語教師養成・研修推進拠点整備事業近畿ブロック拠点代表ほかを務める。
【主著】The ICNALE Guide: An Introduction to a Learner Corpus Study on Asian Learners’ L2 English(Routledge, 2023),『ベーシックコーパス言語学(2版)』(ひつじ書房, 2021/2023),『ベーシック応用言語学(2版)』(ひつじ書房, 2023)ほか。
【第2発表】門田修平(関西学院大学名誉教授)「心理言語学から英語教育へ」

【発表概要】かつて英語教育研究とは,直接教室での教授法・指導法の開発を目的としたものであった。これに対し,心理言語学研究の成果を英語教育に活かそうとするアプローチは,「心理言語学的SLA研究」と呼ばれる。これは,英語など第二言語の処理・獲得の心的(認知)プロセスを研究し,その「知的いとなみ」を可能にする心の仕組みをあきらかにするという観点からの英語教育・教授法研究である。この観点から,これまで蓄積されてきたデータや知見の一端を紹介し,今後のこのアプローチの方向性について展望する。
【講師紹介】専門は第二言語習得研究。これまで,第二言語としての英語が,どのよう
にして知覚・処理され,記憶・学習されるかそのメカニズムについて数多くの研究を重ねてきた。近年は,「社会脳インタラクション」をもとにした社会認知システムからのアプローチを取り入れた研究を盛んに行っている。
【主著】2002年『英語の書きことばと話しことばはいかに関係しているか』くろしお(JACET学術賞),2010年『SLA研究入門』くろしお、2015年『シャドーイング・音読と英語コミュニケーションの科学』コスモピア,2018年『外国語を話せるようになるしくみ』SBクリエイティブ,2019年 Shadowing as a Practice in Second Language Acquisition. Routledge,2023年『社会脳インタラクションを活かした英語の学習・教育』大修館,2024年『AIフル活用!英語発信力トレーニング』コスモピア。